「・・・・・・・・・・・やってられない」
 そう、美貌の少年は呟いた。いや、今の彼を少年ということ自体間違っているのかもしれない。何故なら、今の彼は下手な女優顔負けの美少女へと変装していたのだから。
「ん?何か言ったか?」
 その少年に答えたのは、隣に座って銭勘定をしている、これまた美少年。 「やってられないと言ったんだ」
 少しばかり声のトーンを高くして言い返す美少女、ミスティ。それに対して隣に座っている少年、アステリオンは生返事をした。さっきから何度もこういうやりとりがあったのだ。
「あー・・・・、そうか」
「そうだ!なんなんださっきから!・・・・・・・・・こっちを見ろ!」
 全然自分のほうを見ないアステリオンに業を煮やしたミスティは無理やりアステリオンの顔を自分のほうへと向けた。とたんに、視界は金から、同姓でさえ見惚れる整った顔へ。しかしその顔は眉はひそめられ、頬は高潮し、怒りの炎を目に宿していた。
「さっきから『この女と引き換えに賭けをしないか』って、そればっかりじゃないか!私をなんだと思っているんだ!」
「・・・・・・・・えさ?」
「・・・・!!!?」
 さすがにこの一言には怒りが頂点に達したらしい。そばにあったウォッカの入ったコップを取ると、その中身をアステリオンにぶちまげ、あとは何も言われないうちにさっさと走り去ってしまったのだった。



「ってことで、ムカツクと思いません?ねえ!?カノンさん!」
「確かにそれはムカツクな」
 船の地下のほうにある小さなバー。全体的に少しばかりほの暗くて雰囲気がよい。そこでミスティはサガとアイオロスを探してさまよっていたカノンを見つけて捕まえて、このバーで愚痴を言っているのだ。
 先ほどから何杯も何杯も浴びる様に酒を飲むミスティ。未成年ということはもはや念頭にないらしい。
「そうれすよねぇ〜・・・ふつぅうさぁ・・・・」
 呂律も回らなくなってきた。頭も働かない。自棄酒というのは限度を知らないぶん達が悪い。そして、もっとたちの悪いことが起きてしまった。
「あ!サガの小宇宙!スマン、ミスティ!俺は行く!」
 兄のこととなるといささか我を忘れ勝ちになる冥界編での英雄は、兄の小宇宙を察してさっさとどこかへと走っていってしまった。
「・・・・・・あいかわらる、うらこんなんらから・・・・」
 そんなカノンを見てため息をつくミスティ。すると、後ろから彼の肩に障るものがあった。
「君、そんなに酔っ払って、大丈夫かい?」
 見てみると、年若き顔麗しき青年。実業家だろうか、ずいぶんいい身なりをしている。
「う?」
「僕の部屋で、休んでいかないか?」
 見るからにナンパである。ふだんのミスティなら、引っかからなかっただろうが、泥酔している彼には、十分の言葉だった。
「うん・・・・。やすむ〜」



 あれ・・・・、なんでわたしいまこんなことになってんだろう・・・・・
 ミスティが自分の行動に疑問を持ち始めたのはそれからまもなくのことだった。豪華船のホテルだけあって豪華に出来ているその部屋の、ダブルベッドの上に彼はいた。言葉どおりベッドに転がり、眠ろうとしていたら、その実業家が覆い被さってきたのだった。初めはこいつもつかれているのだろう、と思いベッドを寄ったが、どうやらそれは違うらしく、やたらとミスティの体に触れてくる。
「むう・・・・いったいなんなんら・・・」
 その体を押しのけようとした、その瞬間のことだった。
 カチャリ
金属のぶつかる音。そして、両手に感じる重み。なんなんだろう、とそちらを見てみるとベッドから鎖が出て、その先にある手錠にミスティの手は捕らえられていた。
「・・・・・なに?これ?」
「ちょっと、楽しい趣向をね」
 言って、その青年はミスティの来ているチャイナ服を脱がせようとする。
「楽しい趣向・・・?たのしいの?」
「すぐに、きみもたのしく・・・・ヨクなるはずだよ」
「そうなの・・・?じゃあ、はやくたのしくなる〜・・・・」
「ふふ・・・・、焦らなくてもすぐにしてあげるよ・・・」
 言って、その青年はミスティの口に自分の唇を合わせ、唇を割り、舌を入れ、歯列をなぞる。舌と舌を絡ませ、時々角度を変えていく。
「っふ・・・・・・」


どがしゃぁぁああん


「あほかぁぁぁ!!お前!」
 青年実業家の頭を思いっきり殴り失神させる不審者こと、アステリオン。
「一体何やってんだ!」
「あ〜・・・・、わんわんだぁ」
「・・・・・・・お前、酔っているだろ?」
 言って、青年実業家を部屋から追い出すと共に、水を汲んできてミスティの上からかけるアステリオン。
「・・・・・・・・ん・・・?ん?ん!!?あれ!?アス?え!?ここどこだ!?」
 やっと、自分の置かれた状況を理解したミスティ。
「覚えてないのか・・・・・・。ったく・・・・・」
「なんで手錠なんかあるんだ?取ってくれ、アステリオン」
「・・・・・・の前に、いうことがあるだろう?」
「言うこと?なんだ?」
「ほほぉおう・・・・・・」
 素で言い返したミスティに、何かを含ませて言い返すアステリオン。そして、その場から離れて、どこかへと行ってしまった。
「え・・・!?なあおい!」
 帰って来たときには、彼は手にいろいろ持っていた。リンスやらローターやら。
「この部屋って、面白いのな。ちょっと風呂場に行けばこんなにあったんだから」
 言って、リンスのせんをあけると、ミスティの体の上にとぽとぽとかけはじめる。
「冷っ・・・・」
 ビクリと体を震わす。しかし、その上にさらに、アステリオンはローターにスイッチを入れて、ミスティの胸の突起の上に落とす。触れるか触れないかの微妙な距離。
「やぁんっ・・・・」
 思わず高い声を出してしまうミスティ。体にかかったリンスのせいでぬるんだ体に、ローターが刺激する。何とも言えない感覚がミスティの中で広がった。
「やぁ・・・やめ・・・・・」
「へえ、感じてンだ。プラスチック相手に」
「ンなこと・・・・ないっ」
 揶揄するようなアスの声に涙声で答えるミスティ。手が使えない上に、腰から下はアスに押さえつけられているのだ。黙ってこの刺激に耐えるしかなかった。
「へえ・・・・、じゃ、なんで固くなってるんだ?」
 はだけたチャイナ服の上からミスティのそれを探り当て、撫で回すアステリオン。
「やめて・・・、さわらないで!」
 涙声で抗議するが、そんな願いなど聞き入れてもらえようもなく、チャイナの下のほうをめくり、下着を脱がすと、そこにもリンスをかけ始めた。
「あっ・・・・ん」
 そこまで火照っていたそこにかかる冷たい感触。そして、間髪いれずに別のローターがそこを刺激し始めた。
「あんっ、ああっ、・・・・・ヤダ・・・・・」
「すっげ、もうこんなになってる。好きなの?こういうの。手足縛られてローターって」
「んなわけないだろう・・・・っ」 
 最後までキッチリ言うことは出来なかった。いきなり進入してきた指の感触。リンスで潤滑はよくなっているものの、やはり痛い。中で二本の指でかきまわすアステリオン。
「柔らかいよな、お前のココ」
 からかう様に言うアステリオン。
「やめて・・・よぉっ」
 涙声で抗議する。羞恥心でアスの顔をまっすぐにも見れない。目を瞑っていたら、新しく聞こえるローターの音。それも、今までよりすこし大きい音。
「・・・・・・・まさか」
 そ〜っと目をあける。アスが持っていたのはちょっと太目のバイブレーター。小さ目の振動に設定されているものの、その振動は大きそうだった。
「やめ・・・・・」
 懇願するも、それはリンスで塗らされ、ぬるりとミスティの中に入ってしまった。
「ああんっ、ヤダ、大き・・・、ダメ、あっ・・・んっああっあっ」
 中で振動するそれ。ミスティはその振動で何も考えられなくなっていった。
 ふいに、大きくなる振動。そして、なかでぐねぐねとうと動き回るそれ。アステリオンが強にきりかえたのだ。
「あっ、あんっ、動かないでっ・・・あっああっあん」
 腰を動かして逃げようとするも、どうしても逃げられない。目を瞑り必死にその刺激に耐えようとするが、ついに快楽の波が襲ってきた、その時だった。
「・・・・!!」
 それまでひっつけていたローターとバイブをすべてはずし、ミスティのそれの根元のほうを押さえ込む。当然、イくことができなかったミスティはきっとアステリオンをにらみつけた。
「・・・・・・・・イカセテクダサイって、言ってみな?バイブが欲しいんですって、ちゃんとさ。」
「・・・・・・・・っ」
 泣きそうな顔でアスを見、逡巡する。わかってはいる、自分が今どうしたいかは。しかし、それを言うにはプライドが邪魔をしていた。
「へえ、まだ耐えるんだ」
 言って、アステリオンはその先端をかるくつつく。
「あっ」
 とうとう、理性の尾が切れたのか、目をうるませて、小さな声で言った。
「・・・・・・クダサイ」
「ちゃんとしっかり言わなきゃな」
「・・・・・・・バイブ・・・ください・・・・」
 最後のほうなど、涙声でほとんど聞き取れなかった。しかし、その声に満足したのか、にやりとわらってアスはミスティに再びそれをつきさしたのだった。



続く(つづくんかい!)



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